坂東眞砂子の「子猫殺し」
作家・坂東眞砂子が日経新聞に「子猫殺し」というエッセイを書いて、物議を醸し出している。
『避妊手術をするのも、生まれてきた子猫を崖から落として殺すのも、生を奪っているという意味では同じ。自分の飼い猫に避妊手術をする気にはなれないから、自分は生まれてきた子猫を崖から落として殺してきた』という内容。坂東眞砂子の作品のファンだっただけに、非常にショックだった。これまで、彼女の作品を好んで読んでいたことを激しく後悔している。
避妊手術と生まれてきた命を奪うことを同じだと考える神経は、血の通った人間だとは思えない。避妊手術を受けさせたくないというのであれば、子供を作れない環境に猫を置いてあげればすむ話。避妊手術は飼い主の身勝手だと主張しているそうだけれど、彼女のやっていることは、身勝手どころの話ではない。
また、自分たちが生きるためにはたくさんの命を奪って口にしているし、害虫だって殺しているじゃないかとも主張しているそうだが、それとは次元が違いすぎる。
食べるために他の命を奪うのは、その命を自分の命に還元していることだと思うし、だから、必要以上に殺してはいけない。食べ物を粗末にしてはいけないというのは、他の「生」を犠牲にしているからなのだ。害虫を殺すというのも、自分たちが生活するための仕方のない選択だと思う。私はゴキブリが部屋にいても殺したりはしない。ただ外に追い出すだけである。無駄に殺したくないと思うから、そうする。
彼女の行っていることは、自分がキチンと面倒を見られないがために生まれてしまった「命」を、自分の負担を増やしたくないから、母猫から奪っているだけ。これ以上、残酷なことがある?
2002年夏、うちのラムが子犬を生んだ。シロとの子供で、私たちが気付かないうちに妊娠してたんだ。ラムは身体がちっちゃくて、自力で生むことができず、帝王切開で子犬たちは生まれてきた。そのせいか、ラムには母親としての自覚が芽生えず、育児放棄。代わりに私が眠りもせずに子犬たちの面倒をみたけれど、経験不足で数日も経たないうちに、子犬たちは天国に逝ってしまった。
ラムにも子犬たちにも、どれだけ申し訳ない気持ちでいっぱいになったか...。自分たちの管理不足で、ラムにも子犬たちにも苦しい思いだけをさせてしまった。
母猫に出産という苦しみを与え、子猫には崖から放り投げるという苦しみを与えるということを、故意に行っている彼女は、正気を失っているとしか思えない。自分のやっていることが正しいと本気で思っているなら、狂っている。子供を産む母親は、その後の「子育て」があるからこそ、苦しんで出産という行為を行う。命を途絶えさせないという本能から、そうするんだと思う。苦しみだけを母親に味あわせておいて、その後の命をつなげる権利を奪う、そんな人間性を失った狂った作家の作品は読みたくもないし、この作家の名前を目にしただけで吐き気がするくらいの嫌悪感を覚える。
驚いたのは、その意見に賛同する声が少数ながらもあることである。
影響力のある直木賞作家。そんな彼女の狂った様を世間に晒した日経新聞の責任は重い。そして、彼女と一緒に暮らさざるを得ない犬や猫たちが本当に不幸だと思う。
くだんのエッセイ本文は、こちらで紹介されています。
きっこの日記(2006.08.20)
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